近年、スマートフォンやテレビ、ゲーミングモニターのスペック表で
「可変リフレッシュレート対応」
「VRR (Variable Refresh Rate)」
「1Hz〜120Hz可変」
といった表記を見かける機会が増えました。
高リフレッシュレートが当たり前になりつつある一方で、
「可変ってどういう意味?」
「固定リフレッシュレートと何が違うの?」
「本当に必要なの?」
と疑問に感じる人も多いでしょう。
可変リフレッシュレートは、画面の滑らかさと省電力を両立するために生まれた、非常に重要な技術です。
今回は、可変リフレッシュレートの基本から仕組み、メリット・デメリット、用途別の重要性までを詳しく解説します。

可変リフレッシュレートとは何か?
可変リフレッシュレート(VRR)とは、表示する内容に応じて、ディスプレイのリフレッシュレートを動的に変化させる技術です。
従来のディスプレイは、
- 常に60Hz
- 常に120Hz
といったように、固定されたリフレッシュレートで動作していました。
一方、可変リフレッシュレートでは、
- 動きが少ない画面 → 低いHz
- 動きが激しい画面 → 高いHz
というように、状況に応じて自動で切り替わります。
なぜ可変リフレッシュレートが必要なのか?
高リフレッシュレートは確かに快適ですが、常に高いHzで動かす必要はありません。
例えば、
- 静止した文章を読んでいる
- 常に同じ画面を表示している
- 電子書籍を読んでいる
こうした場面では、120Hzで画面を更新しても、体感的なメリットはほとんどありません。
しかし、リフレッシュレートが高いほど、
- 消費電力が増える
- バッテリー消耗が激しくなる
という問題が生じます。
そこで登場したのが、「必要なときだけ高リフレッシュレートにする」可変リフレッシュレートです。
可変リフレッシュレートの仕組み
可変リフレッシュレートは、主に以下の流れで動作します。
- 表示内容をシステムが解析
- 動きの多さ・フレームレートを検出
- 最適なリフレッシュレートを自動選択
- ディスプレイがHzを切り替えて表示
例えば、
- SNSを高速でスクロール → 120Hz
- スクロール停止 → 30Hz
- 静止画表示 → 1Hz
といった具合です。
ユーザーが意識することなく、裏側で常に最適化が行われています。
固定リフレッシュレートとの違い
| 項目 | 固定リフレッシュレート | 可変リフレッシュレート |
|---|---|---|
| 動作 | 常に一定 | 状況に応じて変化 |
| 消費電力 | 高くなりがち | 抑えやすい |
| 快適さ | 高Hzなら快適 | 快適さを維持 |
| 制御 | シンプル | 高度な制御 |
可変リフレッシュレートは、快適さを保ちつつ無駄を省く仕組みだと言えます。
スマートフォンにおける可変リフレッシュレート
スマートフォン分野では、可変リフレッシュレートが急速に普及しています。
特に注目されているのが、
LTPO(Low-Temperature Polycrystalline Oxide)ディスプレイです。
LTPOは、
- 1Hz〜120Hz
- 1Hz〜144Hz
といった非常に広い範囲での可変制御を可能にします。
これにより、
- 常時表示(AOD)
- 電子書籍
- 静止画表示
といった場面で、大幅な省電力化が実現しています。
可変リフレッシュレートとゲームの関係
ゲーム用途では、可変リフレッシュレートは滑らかさの安定に大きく貢献します。
ゲームでは、処理負荷によってフレームレートが上下することがあります。
このとき、固定リフレッシュレートだと、
- カクつき
- ティアリング(画面のズレ)
が発生しやすくなります。
VRR対応環境では、
ゲーム側のフレームレートに合わせて、ディスプレイ側もHzを変化させるため、映像が安定します。
テレビ・モニターにおける可変リフレッシュレート
テレビやゲーミングモニターでは、
- HDMI 2.1 VRR
- FreeSync
- G-SYNC
といった名称で可変リフレッシュレートが採用されています。
特に次世代ゲーム機(PlayStation 5、Xbox Series X|S)では、VRR対応が重要なポイントになっています。
可変リフレッシュレートのメリット
可変リフレッシュレートには、次のようなメリットがあります。
- 滑らかさを常に最適化できる
- バッテリー消費を抑えられる
- カクつきやズレを軽減できる
- 体感品質が安定する
特にスマートフォンでは、快適さと電池持ちの両立という点で非常に大きな価値があります。
可変リフレッシュレートのデメリット・注意点
一方で、以下のような注意点もあります。
- 対応パネルが高価
- 制御が複雑で最適化に差が出る
- 一部アプリでは固定Hzになることもある
また、VRRの制御幅が狭い製品では、思ったほど省電力にならないケースもあります。
可変リフレッシュレートは誰に必要?
用途別に考えると、重要度は次のように分かれます。
- スマートフォンを長時間使う人
→ 非常に重要 - ゲームをよくプレイする人
→ 重要 - 動画視聴・SNS中心の人
→ あると快適 - 最低限の用途のみ
→ 必須ではない
すべての人に必須ではありませんが、一度体験すると戻れない快適さがあります。
今後の可変リフレッシュレートの進化
今後は、
- より細かなHz制御
- タッチ入力との連動
- AIによる最適化
といった方向で進化していくと考えられます。
可変リフレッシュレートは、単なる表示技術ではなく、ユーザー体験を裏側から支える基盤技術になりつつあります。
まとめ:可変リフレッシュレートは「賢い表示技術」
可変リフレッシュレートは、
- 常に最高性能で動かすのではなく
- 必要なときに、必要なだけ性能を使う
という、非常に合理的な考え方から生まれた技術です。
高リフレッシュレートの快適さを維持しながら、消費電力や発熱を抑える――
このバランスこそが、現代のディスプレイ技術に求められているものです。
今後デバイスを選ぶ際には、
「最大リフレッシュレート」だけでなく、
「どこまで可変できるのか」
という視点も、ぜひチェックしてみてください。