5Gスマートフォンを選んでいると、「Sub6対応」「ミリ波対応」という言葉を目にすることがあります。
どちらも5G通信に使われる電波ですが、実は性質が大きく異なります。
Sub6は、比較的広いエリアをカバーしやすく、障害物にもミリ波より強いため、現在の5G通信を支える中心的な周波数帯です。
一方のミリ波は、非常に広い帯域幅を利用できるため、Sub6を上回る超高速・大容量通信を実現しやすいという特徴があります。
「それなら、すべての5Gスマホをミリ波対応にすればいいのでは?」
と思う人もいるでしょう。
しかし、実際にはミリ波に対応したスマートフォンは、Sub6対応機種と比べるとかなり少ないのが現状です。
その理由は、単純に「ミリ波の基地局が少ないから」だけではありません。
ミリ波は、電波の性質そのものに大きな弱点があり、スマートフォンに搭載するためにはアンテナ設計、端末サイズ、消費電力、発熱、コスト、持ち方による受信性能など、さまざまな課題を解決する必要があります。
今回は、「Sub6とは何なのか」「ミリ波とは何なのか」という基本から、両者の違い、メリット・デメリット、なぜミリ波対応スマホが少ないのか、そして2026年現在のスマートフォン選びでミリ波対応を重視すべきなのかまで、詳しく解説します。
この記事で分かること
この記事を読むと、次のことが分かります。
- Sub6とは何なのか
- ミリ波とは何なのか
- Sub6とミリ波の周波数の違い
- 通信速度が違う理由
- ミリ波が遠くまで届きにくい理由
- ミリ波が障害物に弱い理由
- ミリ波対応スマホが少ない理由
- ミリ波対応スマホにはどんなメリットがあるのか
- Sub6だけでも5Gを十分利用できるのか
- 5Gスマホを選ぶときにミリ波対応を気にするべきなのか
- 今後ミリ波対応スマホが増える可能性

1.そもそも「Sub6」と「ミリ波」とは?
まず、Sub6とミリ波の基本から確認しておきましょう。
5Gは「第5世代移動通信システム」のことで、4G LTEよりも高速・大容量・低遅延・多数同時接続などを実現することを目的とした通信規格です。
ただし、「5G」という名前が付いていれば、すべて同じ速度・同じ電波を使っているわけではありません。
5Gでは、さまざまな周波数帯が利用されます。
その中でもスマートフォン向け5Gで特に重要なのが、
- Sub6
- ミリ波
です。
日本の携帯電話会社では、Sub6として3.7GHz帯、4.0GHz帯、4.5GHz帯などが利用されています。
一方、ミリ波では28GHz帯など、より高い周波数帯が使われています。
例えばNTTドコモは、5Gの新周波数帯として3.7GHz帯、4.5GHz帯、28GHz帯を利用し、3.7GHz帯・4.5GHz帯をSub6、28GHz帯をミリ波として説明しています。
auも、Sub6として3.7GHz帯・4.0GHz帯、ミリ波として28GHz帯を利用しています。
つまり、簡単に言えば、
Sub6=比較的低い周波数の5G
ミリ波=非常に高い周波数の5G
という違いがあります。
2.「Sub6」という名前の意味
Sub6という言葉は、「6GHz未満」という意味です。
「Sub」は「下」、「6」は「6GHz」を意味しているため、文字通り、
Sub6=6GHz未満の周波数帯
という意味になります。
ただし、スマートフォンで「Sub6」と呼ばれる5Gは、必ずしもすべての6GHz未満の周波数帯を意味するわけではありません。
日本の5Gでは、3.7GHz帯や4.0GHz帯、4.5GHz帯などが高速通信を実現する主要なSub6帯として利用されています。
また、4G LTEで利用していた周波数帯を5G NRとして利用する「NR化」もあります。
そのため、携帯電話の5G通信は、
- Sub6
- ミリ波
- 4G周波数帯を5G化したNR
などを組み合わせてエリアを構築しています。
auも、5Gエリアを「ミリ波・Sub6・NR化」の3種類の周波数を活用して構築していると説明しています。
3.「ミリ波」とは何なのか?
ミリ波は、非常に高い周波数帯の電波です。
日本の5Gでは代表的なものとして28GHz帯が使われています。
「ミリ波」という名前は、電波の波長がミリメートル単位になることに由来します。
周波数が高くなるほど、波長は短くなります。
そのため、28GHzのような非常に高い周波数では、波長が数ミリメートル程度になります。
これが「ミリ波」と呼ばれる理由です。
ミリ波の最大の特徴は、
非常に広い帯域幅を確保しやすい
ことです。
通信では、利用できる周波数の幅が広いほど、多くの情報を一度に送受信しやすくなります。
そのためミリ波は、
- 超高速通信
- 大容量通信
- 多数の端末が集中する場所での通信
- 高精細動画などの大容量データ通信
などに適しています。
NTTドコモでは28GHz帯のミリ波について400MHz幅を利用して高速・大容量通信を提供しています。

4.Sub6とミリ波の最大の違い
Sub6とミリ波の違いを簡単にまとめると、次のようになります。
| 項目 | Sub6 | ミリ波 |
|---|---|---|
| 周波数 | 6GHz未満 | 主に28GHz帯など |
| 波長 | ミリ波より長い | 非常に短い |
| 通信速度 | 高速 | 超高速を実現しやすい |
| 通信エリア | 比較的広い | 狭い |
| 障害物 | ミリ波より強い | 弱い |
| 電波の回り込み | しやすい | しにくい |
| 基地局 | 展開しやすい | 密に必要 |
| スマホ対応 | 多い | 少ない |
| 主な用途 | 日常的な5G通信 | 高速・大容量通信 |
| 利便性 | 高い | 利用場所を選ぶ |
重要なのは、
「ミリ波のほうが高性能だから、Sub6より常に優れている」わけではない
ということです。
これは非常に重要なポイントです。
通信速度だけを考えるとミリ波は魅力的ですが、スマートフォンで日常的に使う場合には、Sub6のほうが扱いやすい場面も多くあります。
5.なぜ周波数が高いと通信速度が速くなるの?
では、なぜミリ波はSub6より高速通信に向いているのでしょうか。
大きな理由が「帯域幅」です。
通信では、道路に例えると分かりやすくなります。
Sub6を「片側2車線の道路」、ミリ波を「片側10車線の高速道路」だと考えてみましょう。
車そのものの速度が同じでも、10車線の道路のほうが大量の車を同時に通せます。
通信も同じです。
利用できる周波数の幅が広ければ、より多くのデータを同時に送受信できます。
ミリ波では、Sub6よりも広い帯域幅を確保しやすいため、
大容量データを高速に通信する
という用途に向いています。
例えば、
- 高画質動画のダウンロード
- 大容量ファイルの送受信
- 高速なクラウドアクセス
- 高精細映像のリアルタイム配信
- 混雑した場所での大量通信
などでメリットを発揮します。
6.Sub6は「遅い5G」ではない
ここで注意したいのが、
「ミリ波=速い」
「Sub6=遅い」
と単純に考えないことです。
Sub6も十分に高速です。
携帯電話会社がSub6を高速・大容量通信の中心として整備しているのは、それだけ実用性が高いからです。
例えばauはSub6について、高速・大容量通信に加えてミリ波より遠くまで届きやすいという特徴を説明しています。
つまり、
Sub6は「速度とエリアのバランスが良い5G」
と考えると分かりやすいでしょう。
ミリ波は「速度を極限まで高める代わりに、通信エリアなどに制約がある5G」です。
7.Sub6のメリット
Sub6には大きく分けて5つのメリットがあります。
7-1.比較的広いエリアをカバーできる
Sub6はミリ波より周波数が低いため、ミリ波よりも広い範囲に電波を届けやすい特徴があります。
スマートフォンでは、
- 駅
- 商業施設
- オフィス
- 住宅街
- 道路
- 電車
- 屋外
など、さまざまな場所で通信する必要があります。
このような用途では、ミリ波よりSub6のほうが扱いやすいのです。
7-2.障害物に比較的強い
スマートフォンを使う場所には、壁、建物、車、家具、人など、さまざまな障害物があります。
Sub6はミリ波と比較すると、これらの障害物の影響を受けにくい傾向があります。
もちろんSub6でも、周波数や環境によっては建物などの影響を受けます。
しかし、ミリ波と比べると実用的なエリアを作りやすいのです。
7-3.スマートフォンとの相性が良い
スマートフォンは、
手で持って使う端末
です。
ここが非常に重要です。
ユーザーがスマートフォンを持つと、手や指がアンテナ付近にかかる可能性があります。
Sub6はミリ波ほど電波の遮蔽に敏感ではないため、一般的なスマートフォンの使い方と相性が良いのです。
7-4.基地局を大量に設置しなくてもエリアを作りやすい
ミリ波は通信可能な範囲が狭いため、広いエリアをカバーするには、より多くの基地局やアンテナ設備が必要になります。
Sub6なら、ミリ波より広い範囲をカバーしやすいため、5Gの全国的な展開に向いています。
そのため、携帯電話会社が5Gの基本的なエリアを整備するうえでは、Sub6が非常に重要になります。
7-5.日常利用では十分高速
Webサイトの閲覧、SNS、動画視聴、音楽ストリーミング、オンライン会議など、一般的なスマートフォン利用ではSub6でも十分な通信性能を得られることがあります。
そのため、
「ミリ波に対応していないスマホ=5G性能が低い」
とは限りません。
8.Sub6のデメリット
もちろんSub6にも弱点があります。
最大の弱点は、
ミリ波ほど広い帯域幅を確保しにくい
ことです。
そのため、非常に大容量の通信を短時間で処理したい場合には、ミリ波のほうが有利になります。
また、多数のユーザーが同時に通信する場所では、利用可能な帯域をユーザー同士で共有することになります。
駅やイベント会場などでは、5G対応スマホを持っていても通信速度が低下することがあります。
そこで威力を発揮する可能性があるのがミリ波です。
9.ミリ波のメリット
ミリ波のメリットは、何といっても高速・大容量通信です。
9-1.非常に高速な通信を実現しやすい
ミリ波では広い帯域幅を利用できるため、Sub6を大きく上回る通信速度を実現できる可能性があります。
実際、NTTドコモはSub6とミリ波を組み合わせたNR-DCによって、5G SAで受信最大6.6Gbpsを提供しています。
ここで重要なのは、
ミリ波単独だけではなく、Sub6と組み合わせることで通信性能を高めることもできる
という点です。
9-2.混雑場所で強い
ミリ波は、駅、スタジアム、イベント会場、商業施設など、大勢の人が集まる場所で特に価値があります。
例えば、
- 数万人規模のイベント
- スポーツ観戦
- 大型コンサート
- 駅のホーム
- 展示会
- 大規模商業施設
などです。
こうした場所では、一つの基地局に大量のスマートフォンが接続します。
Sub6だけでは帯域が足りなくなることがあります。
そこでミリ波を追加することで、混雑エリアの通信容量を増やせます。
10.ミリ波の最大の弱点は「届きにくい」こと
ミリ波には非常に大きな弱点があります。
それが、
電波が届きにくい
ということです。
周波数が高くなると、電波は障害物や距離の影響を受けやすくなります。
ミリ波は直進性が強く、遮蔽物の影響を受けやすい傾向があります。
NTT東日本も、ミリ波について「通信範囲が狭い」「遮蔽物に弱い」という特徴を挙げています。
つまり、
「基地局のすぐ近くでは超高速」
なのに、
「少し場所を移動しただけでミリ波から外れる」
ということが起こり得ます。
11.なぜミリ波は障害物に弱いのか?
ミリ波は波長が非常に短い電波です。
そのため、建物や壁などの影響を受けやすくなります。
例えば、基地局とスマートフォンの間に、
- 建物
- 壁
- 樹木
- 車
- 看板
- 人
などが存在すると、ミリ波の通信に影響する可能性があります。
さらにスマートフォンは、人間が手で持つ端末です。
これが大きな問題になります。
12.スマホを手で持つだけでも影響する?
ミリ波対応スマートフォンでは、端末の複数箇所にアンテナを配置するなどして、ユーザーが端末を持った際の影響を抑える設計が行われています。
しかし、それでもミリ波はSub6より電波の遮蔽に敏感です。
例えば、
- 縦向きに持つ
- 横向きに持つ
- 左手で持つ
- 右手で持つ
- ケースを装着する
- 端末の端を握る
など、持ち方によって電波環境が変化する可能性があります。
これは「スマートフォン」という機器とミリ波の相性が難しい理由の一つです。
13.ミリ波対応スマホが少ない理由①――アンテナ設計が難しい
ここからが、この記事の重要なポイントです。
なぜミリ波対応スマホは少ないのでしょうか。
一つ目の理由は、
アンテナ設計が難しいから
です。
スマートフォンには、
- 5G
- 4G LTE
- Wi-Fi
- Bluetooth
- NFC
- GPS
- その他の無線通信
など、さまざまな通信機能があります。
限られた本体内部に多数のアンテナや通信部品を配置しなければなりません。
しかもミリ波では、Sub6とは異なるアンテナ設計が必要になります。
そのため、
「Sub6対応のスマホに、ミリ波用の部品を追加すればいい」
という単純な話ではありません。
14.ミリ波対応スマホが少ない理由②――アンテナを複数配置する必要がある
ミリ波は端末の持ち方や遮蔽物の影響を受けやすいため、スマートフォンでは複数方向から電波を受信できるような設計が重要になります。
端末の一部分だけにアンテナを置くと、ユーザーの手で覆われたときに通信性能が大きく低下する可能性があります。
そこで、端末の複数箇所にミリ波アンテナを配置する設計が必要になります。
これは、
スマートフォン内部のスペースを使う
ことを意味します。
スマートフォンには、
- バッテリー
- カメラ
- SoC
- メモリ
- ストレージ
- スピーカー
- バイブレーター
- 冷却機構
- USB-C関連部品
- アンテナ
など、多数の部品があります。
限られたスペースにミリ波アンテナを追加することは簡単ではありません。
15.ミリ波対応スマホが少ない理由③――コストが上がる
ミリ波対応には追加の通信部品やアンテナなどが必要になります。
当然ながら、部品が増えれば端末コストも上昇しやすくなります。
スマートフォンメーカーからすると、
「ミリ波対応によって価格が上がる」
という問題が出てきます。
しかし、ユーザーの多くがミリ波を利用できる場所にいなければ、その追加コストに見合うメリットを感じてもらいにくいでしょう。
特に10万円前後、あるいはそれ以下の価格帯を狙うスマートフォンでは、
ミリ波対応よりも、カメラ、ディスプレイ、バッテリー、メモリなどを優先したほうが商品として売りやすい
という判断になりやすいと考えられます。
16.ミリ波対応スマホが少ない理由④――消費電力と発熱
通信速度が高くなるほど、端末側の処理や通信機能にも負荷がかかります。
特にミリ波は、高性能な通信を実現するためのアンテナやRF部品などを必要とします。
スマートフォンでは、
通信速度だけでなく、バッテリー持ちも重要
です。
ユーザーからすれば、
「ミリ波対応で速度が速くなったけれど、バッテリーがすぐ減る」
という状態では、必ずしも魅力的とはいえません。
そのためメーカーは、通信性能だけではなく、
- 消費電力
- 発熱
- バッテリー容量
- 冷却性能
- 本体サイズ
などを総合的に考える必要があります。
17.ミリ波対応スマホが少ない理由⑤――基地局が少ない
もう一つ大きな理由が、
ミリ波を利用できる場所そのものが限られている
ことです。
スマートフォンがミリ波に対応していても、周辺にミリ波基地局がなければ利用できません。
つまり、
「ミリ波対応スマホを買ったから、いつでもミリ波で通信できる」
というわけではありません。
携帯電話会社も、ミリ波の特性を考慮して、駅やイベント会場、商業施設などの人が集まる場所を中心に整備する傾向があります。
auも、多くの人が集まる場所ではミリ波とSub6を用いて高速・大容量通信環境を拡大する方針を説明しています。
18.ミリ波は「全国を覆う電波」ではない
5Gというと、
「日本全国で超高速通信ができる」
というイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし、実際の5Gは周波数帯によって役割が異なります。
Sub6は比較的広いエリアをカバーするための重要な周波数帯です。
一方ミリ波は、
局所的に非常に高速な通信を提供するための周波数帯
として考えると分かりやすいでしょう。
つまり、
Sub6=広く使う
ミリ波=必要な場所で強力に使う
という役割分担です。
19.ミリ波は「5Gの上位互換」ではない
ここも誤解されやすいところです。
「5Gスマホならミリ波に対応しているほうが上位モデル」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、実際にはそう単純ではありません。
ミリ波は、
高速通信に特化した電波
です。
その代わり、
- エリアが狭い
- 障害物に弱い
- 基地局が必要
- 対応端末が必要
- 端末設計が難しい
という弱点があります。
Sub6は、
速度とエリアのバランスに優れた電波
です。
したがって、Sub6とミリ波は「優劣」というより、
用途が違う
と考えたほうが正確です。
20.ミリ波対応スマホなら必ず速いの?
これも注意が必要です。
ミリ波対応スマートフォンだからといって、常にミリ波で通信するわけではありません。
実際の通信速度は、
- 基地局の種類
- 基地局との距離
- 電波状況
- 周辺の障害物
- 混雑状況
- 契約している通信会社
- スマートフォンの対応バンド
- 5G SA対応状況
- キャリア側のネットワーク構成
などによって変化します。
そのため、
「ミリ波対応スマホを買えば常時10Gbps」
のような考え方は間違いです。
21.Sub6とミリ波は組み合わせて使うこともある
5Gでは、Sub6とミリ波を組み合わせて通信性能を高める技術があります。
代表的なのがNR-DCです。
NR-DCは、5G NRの複数の周波数帯を組み合わせることで、通信速度を高める仕組みです。
NTTドコモは2024年に、Sub6の3.7GHz帯・4.5GHz帯と28GHz帯のミリ波を組み合わせ、5G SAで受信最大6.6Gbpsを実現すると発表しました。
つまり、Sub6とミリ波は競争する関係ではなく、
お互いの長所を組み合わせる関係
でもあります。
22.5G SAとミリ波は別の話
ここで「5G SA」という言葉が出てきます。
5G SAとは「5G Standalone」のことで、5G専用のコアネットワークを使う5G方式です。
一方、
Sub6とミリ波は「電波の周波数帯」の話
です。
つまり、
5G SA=ネットワーク構成
Sub6・ミリ波=周波数帯
という違いがあります。
そのため、
「ミリ波=5G SA」
ではありません。
5G SAでもSub6を利用できますし、ミリ波を利用することもできます。
23.2026年現在もミリ波対応スマホは限られている
2026年現在、日本で販売されているスマートフォンを見ても、ミリ波対応機種は限定されています。
例えばNTTドコモの28GHz帯提供エリア向け対応機種には、2026年発売機種としてGalaxy S26 Ultra、Galaxy Z Fold8 Ultra、Galaxy Z Fold8、Xperia 1 VIIIなどが掲載されています。
一方、ドコモの5G SA対応機種一覧には、Google PixelシリーズやGalaxy、AQUOS、Xperiaなど多数の機種が掲載されていますが、5G SA対応であることと28GHz帯ミリ波対応であることは別です。
つまり、
5G対応機種は多いが、ミリ波対応機種は限られている
という状況です。
24.iPhoneでもミリ波対応には注意が必要
iPhoneについても、モデルや販売地域によって5G対応周波数が異なります。
Appleの日本向けiPhone 17の技術仕様では、5Gについて「sub-6 GHz」が明記されています。
一方、Appleの米国向けiPhone 17仕様には、5G NR mmWaveとしてn258、n260、n261が記載されています。
つまり、
同じiPhoneシリーズでも販売地域・モデルによってミリ波対応が異なる
場合があります。
このため、海外版スマートフォンを購入する場合には、
「機種名だけを見る」
のではなく、
モデル番号と対応周波数
を確認することが重要です。
25.ミリ波対応スマホを買うメリットは?
では、一般ユーザーがミリ波対応スマホを購入するメリットはあるのでしょうか。
結論としては、
ミリ波を利用する機会が多い人にはメリットがあります。
例えば、
- ミリ波エリアを頻繁に利用する
- 駅やスタジアムをよく利用する
- 大容量データを頻繁にダウンロードする
- 高画質動画を扱う
- 大容量ファイルを送受信する
- 最新の5G通信性能を試したい
- 将来性を重視したい
という人です。
26.逆にミリ波対応が不要な人
一方で、次のような人はミリ波対応を優先しなくてもよいでしょう。
- Web閲覧が中心
- LINEなどのメッセージが中心
- SNSが中心
- YouTubeなどの動画視聴が中心
- 音楽ストリーミングが中心
- 通勤・通学中に普通に使えればよい
- 自宅ではWi-Fiを使う
- ミリ波エリアをほとんど利用しない
こうした用途なら、Sub6対応スマートフォンで十分なケースが多いでしょう。
27.「5Gなのに速度が遅い」のはミリ波非対応だから?
必ずしもそうではありません。
5Gの速度は、ミリ波かSub6かだけで決まるわけではありません。
例えば、
- 基地局の混雑
- 電波強度
- 周波数帯
- 帯域幅
- キャリアアグリゲーション
- 5G SA
- 端末性能
- 基地局との距離
- 屋内・屋外
などが関係します。
「5G」と表示されているのに速度が遅い場合、ミリ波非対応が原因とは限りません。
28.「5G表示=ミリ波」ではない
スマートフォンの画面に、
5G
と表示されても、それだけではミリ波を利用しているとは判断できません。
Sub6でも5Gです。
さらに、キャリアによっては5Gの表示方法が異なる場合があります。
auは、一部機種でSub6やミリ波通信時に「5G+」と表示される場合があると説明しています。
そのため、
「5G+と表示されたからミリ波」
などと単純に判断するのではなく、端末とキャリアの仕様を確認する必要があります。
29.ミリ波対応スマホは今後増える?
今後、ミリ波対応スマートフォンが増える可能性はあります。
その理由の一つは、5Gネットワークの高度化です。
携帯電話会社がミリ波基地局を増やし、ユーザーが利用できる場所が増えれば、端末側の対応メリットも大きくなります。
また、通信部品の小型化や省電力化が進めば、スマートフォンへの搭載もしやすくなるでしょう。
ただし、
すべてのスマートフォンがミリ波対応になるとは限りません。
ミリ波の特性上、今後もハイエンドスマートフォンを中心に搭載される可能性があります。
30.ミリ波が特に活躍する場所
ミリ波は、どこでも使うより、
人が集中する場所
との相性が良い電波です。
例えば、
スタジアム
数万人が同時にスマートフォンを使います。
写真や動画の送信も集中します。
ミリ波によって通信容量を補完できれば、混雑対策として効果が期待できます。
駅
通勤ラッシュ時は大量のスマートフォンが通信します。
駅周辺やホームなどでミリ波を活用すれば、通信容量の増強に役立ちます。
コンサート会場
観客が一斉に写真や動画を撮影してSNSへ投稿します。
このような場所では、大容量通信への需要が急激に高まります。
展示会・イベント
多数の来場者が同時に通信するため、ミリ波の大容量通信能力を活用しやすい場所です。
31.ミリ波はスマートフォン以外でも重要
ミリ波はスマートフォンだけのために存在するわけではありません。
むしろ、
- 工場
- スタジアム
- 商業施設
- イベント会場
- オフィス
- 医療施設
- 教育施設
- ローカル5G
など、特定の場所で大容量通信を必要とする用途との相性が良いと考えられます。
NTT東日本も、ローカル5Gにおけるミリ波について、高速大容量・多数同時接続に適する一方、通信範囲が狭く遮蔽物に弱いという特徴を説明しています。
つまりミリ波は、
「広い場所を一気にカバーする電波」より「必要な場所に強力な通信環境を作る電波」
と考えると分かりやすいでしょう。
32.Sub6とミリ波は「道路」に例えると分かりやすい
Sub6とミリ波の違いを道路に例えてみましょう。
Sub6は、
広い一般道路
です。
ある程度の速度を出せて、広い範囲を走れます。
多少の障害物があっても、道路を作りやすいでしょう。
一方ミリ波は、
超高速道路
です。
非常に多くの車を高速で走らせられます。
しかし、道路を作るにはコストがかかり、長距離を広くカバーするのは難しい。
この関係がSub6とミリ波によく似ています。
33.Sub6とミリ波の関係は「どちらか」ではない
5Gのネットワークを考える場合、
「Sub6とミリ波のどちらが優れているか」
という考え方は適切ではありません。
重要なのは、
それぞれの長所を生かすこと
です。
Sub6で広いエリアをカバーし、
ミリ波で局所的な大容量通信を実現する。
これが5Gネットワークの基本的な考え方です。
34.スマホ選びで「ミリ波対応」を最優先にする必要はある?
一般的なユーザーなら、ミリ波対応を最優先する必要はありません。
スマートフォンを購入するときには、
- バッテリー
- カメラ
- ディスプレイ
- OSアップデート期間
- CPU性能
- ストレージ容量
- 防水・防塵
- おサイフケータイ
- サイズ・重量
- 通信対応
などを総合的に判断したほうがよいでしょう。
そのうえで、
ミリ波を使う予定があるなら対応機種を選ぶ
という考え方がおすすめです。
35.ミリ波対応を確認したほうがよい人
以下に該当するなら、ミリ波対応を確認する価値があります。
① 最新通信技術を試したい
5Gの性能を最大限に体験したい人には、ミリ波対応端末が候補になります。
② 大容量通信を頻繁に行う
動画や大容量ファイルを頻繁に扱う人にはメリットがあります。
③ ミリ波エリアをよく利用する
これが最も重要です。
自宅や職場、通勤経路、よく行く駅などがミリ波エリアなら、対応端末のメリットを感じやすくなります。
④ 混雑した場所でスマホを使う
イベントやスタジアムなどに頻繁に行く人にも向いています。
36.ミリ波対応だけでスマホを選ぶのは危険
反対に、
「ミリ波対応だから、このスマホを買う」
という選び方はおすすめできません。
なぜなら、ミリ波以外の部分で使いにくさを感じる可能性があるからです。
例えば、
- バッテリーが小さい
- 本体が重い
- カメラ性能が低い
- アップデート期間が短い
- ストレージが少ない
- 価格が高い
などです。
ミリ波はあくまでスマートフォンの通信機能の一つです。
37.対応バンドを確認することが重要
ミリ波対応スマホを購入するときは、
「ミリ波対応」という表記だけでは不十分
です。
どの周波数帯に対応しているのか確認しましょう。
例えば日本の主要な5Gミリ波では28GHz帯が重要です。
一方、海外では異なる周波数帯が使われることがあります。
Appleの仕様でも、米国向けモデルにはn258、n260、n261などのmmWave対応が記載される一方、日本向けモデルではsub-6 GHz中心の仕様になっています。
そのため、海外版スマホを購入する場合には特に注意が必要です。
38.「日本でミリ波対応」なのかを確認する
海外モデルの「5G mmWave対応」という表示を見て、
「日本でもミリ波が使える」
と考えるのは危険です。
重要なのは、
日本の携帯電話会社が利用する周波数に対応しているか
です。
特に海外通販などでスマートフォンを購入する場合は、
- モデル番号
- 5G対応バンド
- 国内キャリア対応
- VoLTE
- eSIM
- FeliCa
- 技適
なども確認しましょう。
39.ミリ波対応スマホの価格が高くなりやすい理由
ミリ波対応スマホが高価格帯に多いのには理由があります。
ミリ波対応には、
- ミリ波アンテナ
- RF関連部品
- 複数アンテナ
- 高度な通信制御
- 発熱対策
- 電力管理
- 高度な設計・検証
などが必要になる場合があります。
さらにハイエンドスマートフォンは、ミリ波以外にも、
- 高性能SoC
- 高性能カメラ
- 高品質ディスプレイ
- 大容量メモリ
- 高速ストレージ
などを搭載しています。
そのため、ミリ波対応端末が高価格帯に集中しやすいのです。
40.「ミリ波対応スマホが少ない=失敗した技術」ではない
ミリ波対応スマホが少ないことから、
「ミリ波は失敗した技術なのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、これは少し違います。
ミリ波は、
利用する場所を選ぶ代わりに、非常に大きな通信容量を提供できる
という明確な役割があります。
つまり、
「どこでも使えること」
を目指すSub6とは役割が異なります。
ミリ波が普及しにくいのは、技術的に価値がないからではなく、
スマートフォンで日常的に利用するには、電波特性上の制約が大きいから
と考えるほうが適切です。
41.5Gの未来ではSub6とミリ波の両方が重要
今後の5Gネットワークでは、
Sub6とミリ波を適材適所で使い分ける
ことが重要になります。
Sub6は広い範囲をカバーし、日常的な通信を支えます。
ミリ波は、人が集中する場所や大容量通信が必要な場所を補強します。
このような役割分担によって、5Gの通信品質を高めることができます。
42.将来的にミリ波対応スマホが増える可能性
今後、ミリ波対応スマホが増える可能性はあります。
理由としては、
- ミリ波基地局の増加
- 通信部品の小型化
- アンテナ技術の進化
- 消費電力の低減
- 端末価格への影響の縮小
- 5Gネットワークの高度化
- 大容量通信需要の増加
などが考えられます。
ただし、ミリ波は電波の性質そのものが変わるわけではありません。
どれだけ技術が進歩しても、
「高周波なので障害物や距離の影響を受けやすい」
という基本的な特徴は残ります。
そのため、Sub6がなくなってミリ波だけになるというより、
Sub6とミリ波が共存する
形が今後も続く可能性が高いでしょう。
43.Sub6とミリ波の違いを簡単にまとめると
ここまでの内容をまとめます。
Sub6
Sub6は6GHz未満の周波数帯を指します。
日本の5Gでは3.7GHz帯、4.0GHz帯、4.5GHz帯などが高速通信を支える主要なSub6として使われています。
特徴は、
- 広いエリアを作りやすい
- ミリ波より障害物に強い
- スマートフォンとの相性が良い
- 日常利用に向いている
- 5Gのエリア展開で重要
という点です。
ミリ波
ミリ波は非常に高い周波数帯で、日本では28GHz帯が代表的です。
特徴は、
- 非常に高速
- 広い帯域幅を確保しやすい
- 大容量通信に強い
- 多数のユーザーがいる場所で有効
- ただし通信範囲が狭い
- 障害物に弱い
- 基地局を密に配置する必要がある
という点です。
44.ミリ波対応スマホが少ない最大の理由
ここまでを踏まえると、ミリ波対応スマホが少ない理由は一つではありません。
主な理由をまとめると、
①アンテナ設計が難しい
②本体内部のスペースを必要とする
③複数アンテナなどが必要になる
④端末コストが上がりやすい
⑤消費電力や発熱への対策が必要
⑥ミリ波を利用できるエリアが限られている
⑦一般ユーザーがミリ波を利用する機会がまだ少ない
という複数の理由があります。
つまり、
「スマホメーカーがミリ波を嫌っているから」ではなく、費用と技術的な難しさに対して、現時点で一般ユーザーが得られるメリットが限定的だから
と考えると分かりやすいでしょう。
45.結局、5GスマホはSub6対応だけで十分?
一般的なユーザーであれば、
Sub6対応だけでも十分なケースが多い
でしょう。
SNS、Web、動画、音楽、オンライン会議、ゲームなど、一般的なスマートフォン利用では、ミリ波が必須になる場面は限られます。
むしろ、
「5G対応かどうか」
だけではなく、
- 対応する5G周波数
- キャリアとの相性
- 5G SA対応
- バッテリー
- CPU
- カメラ
- ディスプレイ
- OSアップデート
などを総合的に判断することが重要です。
46.ミリ波対応を選んだほうがいい人
一方で、次のような人にはミリ波対応スマホが魅力的です。
- 5Gの最新技術を体験したい
- 通信速度を重視する
- 大容量ファイルを頻繁に扱う
- 動画制作などで大容量データを扱う
- スタジアムやイベント会場をよく利用する
- ミリ波エリアを頻繁に利用する
- 高性能スマートフォンを購入する予定がある
- 数年間使うことを前提に通信性能にもこだわりたい
こうした人なら、ミリ波対応は購入時のチェックポイントになります。
47.スマホ選びでは「ミリ波対応」より「使う場所」が重要
ミリ波対応スマホを選ぶときに最も重要なのは、
自分がミリ波を使える場所にいるか
です。
例えば、毎日利用する駅がミリ波エリアであれば、対応スマホのメリットを感じる可能性があります。
しかし、自宅・職場・学校・通勤経路などがミリ波エリアではない場合、対応スマホを購入しても、実際に利用する機会は少ないかもしれません。
したがって、
「ミリ波対応だから買う」ではなく、「ミリ波を使う場所があるから買う」
という考え方がおすすめです。
48.まとめ――Sub6とミリ波は「速度」と「エリア」のバランスが違う
Sub6とミリ波は、どちらも5Gを支える重要な周波数帯です。
Sub6は、
「広いエリアで安定して使いやすい5G」
という役割を担っています。
一方のミリ波は、
「限られた場所で非常に高速・大容量の通信を実現する5G」
という役割を担っています。
ミリ波はSub6よりも広い帯域幅を確保しやすいため、超高速通信を実現できます。
しかし、
- 電波が遠くまで届きにくい
- 障害物に弱い
- 端末の持ち方の影響を受けやすい
- 基地局を密に設置する必要がある
- スマートフォンのアンテナ設計が難しい
- 部品コストが上がりやすい
- 消費電力や発熱への対策が必要
といった問題があります。
これが、ミリ波対応スマートフォンがSub6対応スマートフォンほど増えていない大きな理由です。
2026年現在でも、ミリ波対応機種は主に一部のハイエンドモデルなどに限られています。NTTドコモの28GHz帯向け対応機種にも、Galaxy S26 Ultra、Galaxy Z Fold8シリーズ、Xperia 1 VIIIなど一部のモデルが掲載されています。
ただし、これはミリ波が重要ではないという意味ではありません。
ミリ波は、
駅、スタジアム、イベント会場、商業施設など、人が集中する場所で高速・大容量通信を実現するための重要な技術
です。
今後も5Gネットワークが高度化すれば、Sub6とミリ波を組み合わせて通信品質を高める場面は増えていくでしょう。
スマートフォンを購入するときには、「ミリ波対応かどうか」だけで判断するのではなく、
自分が実際にミリ波エリアを利用するのか
を確認することが大切です。
一般的なユーザーであれば、Sub6対応の5Gスマートフォンでも十分な通信性能を得られるケースが多いでしょう。
一方で、5Gの最高速度を追求したい人や、大容量通信を頻繁に利用する人、ミリ波エリアをよく利用する人にとっては、ミリ波対応スマートフォンが魅力的な選択肢になります。
つまり、
Sub6=広く、バランスよく使える5G
ミリ波=狭い範囲でも圧倒的な通信容量を確保する5G
と覚えておけば、両者の違いを理解しやすくなります。
そして、ミリ波対応スマホが少ない最大の理由は、
「ミリ波の性能が低いから」ではなく、「非常に高性能な一方で、スマートフォンに搭載するにはコストやアンテナ設計、電波特性などのハードルが高く、現時点では利用できる場所も限られているから」
です。
5Gは一つの電波だけで完成するものではありません。
Sub6とミリ波、それぞれの長所を生かして組み合わせることで、これからの高速・大容量モバイル通信が実現していくと考えると、5Gの仕組みがより分かりやすくなるでしょう。