― スマートフォン用SoCの二大巨頭、その違いと選び方 ―
スマートフォンの性能や使い勝手を大きく左右する「SoC(System on a Chip)」。
現在のスマホ市場において、このSoC分野で圧倒的な存在感を放っているのが MediaTek(メディアテック) と Qualcomm(クアルコム) です。
Androidスマートフォンを選ぶ際に
「MediaTek搭載モデルとSnapdragon搭載モデル、どっちが良いの?」
と悩んだ経験がある方も多いでしょう。
今回は、MediaTekとQualcommの違いを性能・省電力・AI・通信・価格・将来性など多角的な視点から比較し、それぞれがどんなユーザーに向いているのかを初心者にも分かりやすく解説します。

1. MediaTekとQualcommとは?
MediaTek(メディアテック)とは
MediaTekは、台湾に本社を置く半導体メーカーです。
主にスマートフォン、タブレット、スマートTV、Wi-Fiルーター向けのSoCを開発しています。
特にスマートフォン向けSoCでは
「Dimensity(ディメンシティ)」シリーズ が主力で、
近年はハイエンド分野でも急速に存在感を高めています。
MediaTekの最大の特徴は、
- コストパフォーマンスの高さ
- 幅広い価格帯への展開
- 製品供給量の多さ
です。

Qualcomm(クアルコム)とは
Qualcommは、アメリカ・カリフォルニア州に本社を置く半導体メーカーで、
スマートフォン向けSoC「Snapdragon(スナップドラゴン)」シリーズで知られています。
QualcommはSoCだけでなく、
- モデム(通信技術)
- GPU
- AI処理
- 特許ビジネス
など、通信分野全体に強みを持つ企業です。
Androidスマートフォンのハイエンド市場では、
長年Snapdragonが“定番”として君臨してきました。

2. SoCとは何か?簡単におさらい
SoC(System on a Chip)とは、
CPU・GPU・AIエンジン・通信機能などを1つのチップにまとめた頭脳のような存在です。
SoCの性能次第で、
- アプリの動作速度
- ゲーム性能
- カメラ処理能力
- バッテリー持ち
- 5G通信の安定性
が大きく変わります。
そのため、スマホ選びではSoCの違いを理解することが非常に重要です。
3. CPU性能の違い
MediaTekのCPU特徴
MediaTekのDimensityシリーズは、
ARMの最新CPUコア(Cortex-X / Cortex-Aシリーズ)を積極的に採用する傾向があります。
近年の特徴としては、
- 高クロック動作
- マルチコア性能が高い
- 数値上のベンチマークスコアが高め
といった点が挙げられます。
特にDimensity 9000番台以降は、
ハイエンドでもSnapdragonと正面から競合できる性能を実現しています。
QualcommのCPU特徴
Qualcommは長年、
安定性と最適化を重視したCPU設計を行ってきました。
Snapdragonシリーズでは、
- 独自設計のCPUコア(Kryo)
- 発熱や消費電力を抑えたチューニング
が強みです。
ピーク性能ではMediaTekが上回る場面があっても、
実使用時の快適さや安定動作ではSnapdragonが評価されることが多いです。
4. GPU(グラフィック性能)の違い
MediaTek:Mali GPU
MediaTekは、ARM製のMali GPUを採用しています。
特徴としては、
- 高い演算性能
- 最新規格への対応が早い
一方で、
- ゲーム最適化が端末依存になりやすい
- 長時間プレイ時の安定性に差が出やすい
といった弱点もあります。
Qualcomm:Adreno GPU
Qualcommの大きな強みがAdreno GPUです。
Adreno GPUは、
- ゲーム最適化が非常に進んでいる
- フレームレートの安定性が高い
- 発熱制御が優秀
という特徴があります。
特に日本で人気の3Dゲームやeスポーツ系タイトルでは、
Snapdragon搭載機のほうが安定しやすい傾向があります。
5. AI性能の違い

MediaTekのAI戦略
MediaTekはAI処理を非常に重視しており、
Dimensityシリーズには高性能な**APU(AI Processing Unit)**を搭載しています。
AIによる
- カメラ補正
- 画像処理
- 音声認識
では、MediaTekが数値的に優れるケースも増えています。
QualcommのAI戦略
Qualcommは、
CPU・GPU・DSPを組み合わせたAI Engineを採用しています。
特徴は、
- 実アプリでの最適化が進んでいる
- カメラ・音声・翻訳などの実用AIが強い
ベンチマークだけでなく、
日常利用での賢さに定評があります。
6. 通信性能(5G・Wi-Fi)の違い
MediaTek
- 統合型5Gモデム
- コストを抑えた設計
- デュアルSIM運用に強い
価格帯の広い端末に採用しやすいのが特徴です。
Qualcomm
- 通信技術のパイオニア
- 電波の掴みやすさ
- 混雑時の安定性
特に日本のような都市部・地下・電車移動では、
Snapdragon搭載機の通信安定性が評価されることが多いです。
7. 消費電力・発熱の違い
MediaTek
- ピーク性能が高い分、発熱が出やすい世代も存在
- 近年は改善傾向
Qualcomm
- 長時間使用時の発熱制御が上手
- ゲーム・動画視聴で安定
「長時間快適に使いたい」ならSnapdragonが有利なケースが多いです。
8. 価格と採用スマホの傾向
MediaTek搭載スマホ
- ミドルレンジ~コスパ重視モデル
- 中国メーカーやSIMフリースマホに多い
- 価格性能比が高い
Snapdragon搭載スマホ
- ハイエンド・定番モデル
- 国内キャリアモデルに多い
- 長期サポートを重視
9. 結局どっちを選ぶべき?
MediaTekがおすすめな人
- 価格を重視したい
- 日常使い+軽いゲーム
- ベンチマーク性能を重視
Qualcommがおすすめな人
- ゲームを長時間遊ぶ
- 安定性・通信品質を重視
- 定番・安心感を求める
10. まとめ
MediaTekとQualcommは、
**単純な優劣ではなく「方向性の違い」**があるメーカーです。
- コスパ・性能重視 → MediaTek
- 安定性・完成度重視 → Qualcomm
スマートフォン選びでは、
「自分の使い方に合ったSoCを選ぶ」
ことが最も重要です。
今後も両社の競争によって、
スマートフォンの性能はさらに進化していくでしょう。