イヤホンの世界は、この10年で劇的に変化しました。かつてはスマートフォンに付属していた有線イヤホンが当たり前の存在でしたが、今ではワイヤレスイヤホン――特に完全ワイヤレスイヤホン(TWS)が主流と言ってよいほど普及しています。
とはいえ、ワイヤレスイヤホンが完全な上位互換というわけではありません。有線イヤホンには、有線だからこそ実現できる音質、遅延の少なさ、電池不要といった強みがあり、音楽ファンやゲーマーの間では根強い人気があります。
今回は、ワイヤレスイヤホンと有線イヤホンの特徴を詳しく解説し、あなたの利用シーンに最適なのはどちらかを分かりやすく紹介します。

1. ワイヤレスイヤホンとは?その進化と背景
ワイヤレスイヤホンとは、BluetoothでスマートフォンやPCと接続するイヤホンの総称です。
2010年代後半から急速に普及し、とくに2016年の「AirPods」登場以降、完全ワイヤレスイヤホン(左右独立型)が市場の主役になりました。
近年では以下のように進化しています。
- Bluetoothの規格が 4.0 → 5.0 → 5.2 → 5.3 と進化
- ANC(アクティブノイズキャンセリング)の高性能化
- マルチポイント接続の標準化
- ハイレゾ対応コーデック(LDAC、LHDC、aptX Adaptiveなど)の普及
このように技術が進歩したことで、ワイヤレスでも音質・接続性ともに圧倒的に快適になりました。
2. 有線イヤホンとは?安定した音質と遅延ゼロの強み
有線イヤホンは、3.5mmステレオミニプラグやUSB-C、Lightningなどケーブルで接続するイヤホンです。
1990年代から続く歴史があり、プロのレコーディング現場でもいまだに使用されるほど信頼性の高い方式です。
有線の最大の魅力は以下です。
- 電池が不要
- 音の遅延がほとんどない
- ノイズが少なく音質が安定
- 通信が必要ないため断線以外のトラブルが少ない
特に最近は、アニメやゲームのオタク層、DTMユーザー、ミュージシャンを中心に再評価の流れがあります。

3. ワイヤレスイヤホンのメリット
ここからは、ワイヤレスイヤホンのメリットを詳しく見ていきます。
メリット①:ケーブルがない快適さは圧倒的
ワイヤレスイヤホン最大の魅力は、ケーブルからの解放です。
- カバンやポケットから出すときに絡まない
- 満員電車で引っ張られない
- デスク周りがすっきり
- 運動中も動きを妨げない
特にランニングや筋トレでは、有線だと腕に引っかかったり断線のリスクがあるため、ワイヤレスはスポーツ用途で圧倒的に優位です。
メリット②:ノイズキャンセリング(ANC)が使える
近年のワイヤレスイヤホンは、ほとんどが**アクティブノイズキャンセリング(ANC)**に対応しています。
- 電車の騒音が軽減
- カフェの雑音を抑えて集中
- 作業用BGMとの相性抜群
有線イヤホンにもANC搭載モデルは存在しますが種類が極めて少なく、性能面でもワイヤレスの方が上です。
メリット③:マイク性能が高くテレワークに最適
ほぼすべてのワイヤレスイヤホンにマイクが内蔵されています。
- オンライン会議
- ゲームボイスチャット
- スマホ通話
- 外での音声入力
最近のモデルはノイズリダクション機能が強化されており、風切り音を抑えたり、周囲の会話を除去したりできます。
メリット④:マルチポイントで複数デバイスを同時接続できる
近年のワイヤレスイヤホンはマルチポイント接続に対応するモデルが増えています。
例:
- PCでオンライン会議
- スマホに着信が来たら自動で切り替え
有線だと差し替えが必要なので、この点は大きな差です。
メリット⑤:最新コーデックで高音質化が進む
最近はワイヤレスでも以下のような高音質コーデックが普及しています。
- LDAC(Sony)
- LHDC(Huawei)
- aptX Adaptive / Lossless(Qualcomm)
音楽ファンでも満足できるレベルまで進化しており、従来の「ワイヤレス=音質が悪い」という常識は崩れつつあります。
4. ワイヤレスイヤホンのデメリット
ワイヤレスには確かな弱点も存在します。
デメリット①:充電が必要でバッテリー劣化も避けられない
ワイヤレスイヤホンの最大の問題点は必ず充電が必要なことです。
- 毎日充電が必要
- 使用可能時間は5~10時間
- 2~3年でバッテリー寿命が来る
- 劣化すると最大音量が低くなることも
特にケースのバッテリー劣化は避けられません。
長期間使うなら、有線イヤホンの方が圧倒的にコスパが良いです。
デメリット②:遅延がある
ワイヤレスイヤホンには必ず音の遅延が発生します。
Bluetooth特性上ゼロにはできません。
- 音ゲー
- FPSゲーム
- 動画編集
- 音楽制作(DTM)
これらの用途では、有線イヤホンが圧倒的に有利です。
デメリット③:接続が不安定になることがある
ワイヤレスは電波の干渉によるトラブルが起きやすいです。
- 地下鉄や駅で音が途切れる
- PCとの相性問題
- Bluetoothの混雑
- 左右が一瞬だけ切れる(完全ワイヤレス特有)
高価なモデルでも環境によって不安定になることがあります。
デメリット④:価格が高くなりやすい
ワイヤレスは以下のような機能が必要なため、構造が複雑です。
- バッテリー
- Bluetoothチップ
- アンテナ
- ノイズキャンセリング
- タッチセンサー
- マイク
- ケースのバッテリー
そのため同じ価格帯なら、有線の方が音質が良いとされます。
5. 有線イヤホンのメリット
メリット①:遅延なし・電池不要・安定性抜群
有線イヤホン最大のメリットはこれ。
- 遅延がほぼゼロ
- 充電不要でいつでも使える
- 電波干渉なし
- ペアリング不要
- 音質も安定
ゲーム・動画編集・音楽制作など、プロ用途では今も有線が最強です。
メリット②:同価格帯ならワイヤレスより高音質
同じ1万円でも、
- 有線 → 音質重視
- ワイヤレス → 機能+バッテリー+チップ込み
となるため、有線の方が音質が良いのは当然です。
イヤホンの本来の目的が「音を聞くこと」なら、有線に分があります。
メリット③:長期間使える(5〜10年も珍しくない)
有線イヤホンはシンプルな構造のため長寿命です。
- バッテリー劣化なし
- 物理的に壊れない限り使える
- 修理しやすいモデルもある
ワイヤレスは2〜3年で寿命が来ますが、有線は10年使っている人も珍しくありません。
メリット④:価格が安いモデルが多い
1,000円台から購入できるのは有線最大のコスパ。
高音質なモデルでも5,000円〜1万円台で入手できます。
メリット⑤:安心して電車や飛行機でも使える
ワイヤレスの電波が禁止される場面は減りましたが、
離陸・着陸の際はBluetoothを切るよう指示される場合があります。
有線は常に使用OKです。
6. 有線イヤホンのデメリット
デメリット①:ケーブルが邪魔・絡まる
最大の弱点です。
- ポケットに入れると絡まる
- 満員電車で引っ張られる
- 歩いたときに擦れて雑音が出る
- 断線リスクがある
とくにスポーツには明らかに不向きです。
デメリット②:イヤホンジャックがない機種では使えない
スマホからイヤホンジャックが消えてしまったため、
- USB-C変換アダプタ
- Lightning変換アダプタ
- DAC内蔵ケーブル
などが必要になります。
「有線を使いたいのにスマホ側が不便」
というケースが急増しています。
デメリット③:マイク性能が弱いことが多い
有線イヤホンのマイクは最低限の品質が多く、
通話品質でワイヤレスに劣るケースがほとんどです。
デメリット④:ノイズキャンセリングはほぼ付いていない
有線イヤホンにもANC搭載モデルは存在しますが、
- 種類が極めて少ない
- ワイヤレスほど性能が高くない
という弱点があります。
7. ワイヤレスイヤホンと有線イヤホンの比較表
| 項目 | ワイヤレスイヤホン | 有線イヤホン |
|---|---|---|
| 音質 | 昔より改善、高価格帯は高音質 | 同価格帯なら有線の方が上 |
| 遅延 | ほぼ必ずある | ほぼゼロ |
| 安定性 | 接続が途切れることも | 電波干渉なしで安定 |
| 充電 | 必要 | 不要 |
| 価格 | 高くなりがち | 安いモデルが多い |
| 機能 | ANCや外音取り込みなど多機能 | シンプル |
| マイク | 高性能 | 基本的には普通 |
| 寿命 | バッテリー劣化する | 長寿命 |
| スポーツ用途 | 最適 | 不向き |
8. どっちを選ぶべき?用途別おすすめ
● とにかく便利さを求める → ワイヤレス
- 通勤・通学
- 家事しながらの使用
- スマホで音楽や動画
- 外での通話
- ハンズフリー操作
日常生活ではワイヤレスの圧勝です。
● 音質重視・ゲーム・制作 → 有線
- FPS、音ゲー
- 動画編集
- DTM(音楽制作)
- 高音質鑑賞
- とにかく遅延が許せない人
このような用途では圧倒的に有線が最適です。
● 2つ併用が最適解という人も多い
実は最近増えているのが、
普段はワイヤレス
家では有線イヤホンを使って音楽鑑賞やゲーム
というハイブリッド派です。
用途によって使い分けるのが、最適かつストレスの少ない選択です。
9. 結論:あなたの用途に合わせて選ぶのが最善
ワイヤレスイヤホンと有線イヤホンには、どちらにも明確なメリットとデメリットがあります。
ワイヤレスイヤホンが向いている人
- とにかく便利さ重視
- ケーブルが嫌い
- 通話やオンライン会議で使う
- ノイズキャンセリング必須
- スポーツ用途が多い
有線イヤホンが向いている人
- 音質にこだわる
- ゲームや動画編集をする
- 長く使いたい
- 充電が面倒
- スマホに有線が挿せる環境がある
10. 最後に:イヤホン選びは「音×用途×生活スタイル」
イヤホン選びで最も重要なのは、
- どこで使うのか
- 何に使うのか
- あなたが何を重視するのか
という3つの要素です。
ワイヤレスは便利で高機能、
有線は高音質で安定、という特徴を理解すれば、
自分に最適なイヤホンを選べるようになります。